紛争の火種

原発事故は、社会のあらゆる面に「紛争の火種」をもたらしています。直接の被害ばかりではありません。損害賠償をめぐる親族間紛争、避難に伴う家族間紛争、不動産をめぐる紛争、復興関連企業間の紛争など、原発事故がきっかけとなり、「二次被害」というべき様々な紛争が誘発されてしまいました。法律家だけでは解決できない問題も少なくありませんが、今こそ、法律家の力が求められていることも確かです。

闘う時代に

東京電力による損害賠償金の支払い額が8兆円を超える中で、同社は、賠償金の打ち切りに躍起になっています。法律上は、放射性物質等の作用と損害との間に「社会的にみて相当な因果関係」があればすべて賠償の対象となるはずですが、想定を遥かに超える損害が生じていることから、加害者側が、一方的に「終期」を設定しようとしています。特に、避難指示区域外の営業損害においては、依然として「風評被害」や「間接被害」が生じているのに、抽象的な理由だけで、一方的に打ち切りを宣言してきます。争う術を知らない事業者の「泣き寝入り」に乗じた打ち切りを許すわけにはいきません。法律家が、この流れに抵抗し、闘う時代に入っています。

二つの「風」

二つの「風」にどう対応するかが求められています。一つは「風評被害」であり、もう一つは「風化」です。これらは、どちらも「無関心」から生ずるものだと思います。「風評被害」は、情報がアップデイトされておらず、「福島=危険」と過去の情報で単純に考えてしまう「無関心」であり、「風化」は、自分の地域で起こったことではないので関係ないという「無関心」です。

この世界的・歴史的大惨事を風化させないためにも、原発事故がもたらした様々な問題に対して、これからも積極的に取り組み、地元の声を全国に、そして世界に発信していきたいと思います。

平成30年

弁護士 渡辺 淑彦
弁護士 松本 三加
弁護士 鎌田  毅
弁護士 三村 茂太
弁護士 藤  健太



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