私たちは，長年，司法を利用しようとする方々が，日本中どこに住んでいても，良質な法的サービスを受けることができる社会を目指し，全国各地で活動を続けてきました。自らの権利の実現のためには，最終的には，裁判手続を利用せざるを得ません。そして，裁判という場で，正義に適った結果を得るためには，弁護士による助力が不可欠です。しかも，依頼者の権利実現のために最大限の努力を惜しまない弁護士による助力が必要不可欠といえるでしょう。

　ところが，実際には，司法手続を利用せざるを得ない状況に追い込まれた方々の住む地域社会に弁護士が足りないとか，司法が紛争を解決するための社会的インフラとして機能していないという場合が少なくありません。そのような社会では，「裁判を受ける権利」も画餅に過ぎないこととなってしまいます。

　人が社会生活を営む以上，法的トラブルは不断に発生します。そして，その法的トラブルに対し，正義に適った方法で解決しなければ，平穏な社会生活は送れないことになるでしょう。私たちは，そのような法的トラブルに巻き込まれた方々や，弁護士の助力を必要とする企業の皆様のために，最大限の努力をさせて頂きたいと思います。この地域の方々，また，企業の皆様が，心からご満足頂けるような法律事務所を目指し日々努力していきます。一つ一つの事件に誠実に対応しその結果，皆様の権利が実現され，抱えている心の負担が軽減し，その喜びを共有できるという弁護士冥利に尽きる体験をしたいと思っています。

　事務所名には，福島県の浜通り地域の方々のお役に立ちたいという，私たちの想いが込められています。

　原発事故は，社会のあらゆる面に「紛争の火種」をもたらしました。被害は，原発事故からの直接の被害ばかりではなく，事故処理のための賠償や政策により，地域社会に広く軋轢や分断をもたらしていると感じざるを得ません。原発被害を，「生活再建」「人間の復興」のなどの面から見ると，被害は全く収束しておらず，形を変えて拡大しているとも言えます。過去 10 年間，私たちは，原発事故被害の最前線で闘ってきました。そして，これからも「人間の復興」のために戦い続けたいと思っています。この世界的・歴史的大惨事に，世界中の人に常に関心を持ってもらい，風化させないためにも，私たちは，これからも最前線から意見を発信していきたいと思っています。

　弁護士は，その自由な立場ゆえに，社会を結びつける役割を担っていると思います。往々にして縦割り社会の中で，その潤滑油として，各機関を結びつけるべき役割を担っていると思います。地域社会のネットワークの核となれるよう，コミュニティロイヤーとしての役割を果たしていきたいと考えております。そのためには，各種法律問題の講演会，法教育，憲法の普及活動など，この地域社会に「法の支配」を浸透させるような積極的な活動を，これからも続けていきたいと思います。

　また，私たちは，常に社会的関心・公益的関心を持ち続ける弁護士でありたいと思います。法律を武器に「社会の一隅を照らす」存在でありたいと思います。司法への信頼，本当の司法改革というのは，大上段から推し進めるものではなく，一人一人の依頼者に対し，誠実に対応することで，草の根的に広がっていくものであることを信じています。

　浜通り法律事務所を開業し，10 年が経過しました。次の 10 年，どのような社会になるかを想定し，守りに入らず，積極的に新しいチャレンジを続けていきたいと思っています。